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沢田君は「実験とか数式ばっかりだと頭が痛くなっちゃうんだよ。本を読むと気分転換になるんだ」と、少し笑った。
沢田君は春からも大学院生として研究に励むそうだから、数学とか理科とか全くだめだった私からしたら異世界の人だった。
同窓会が始まって1時間くらいが過ぎた頃、私は聞きたくなかった、でも、たぶん聞くことになるだろうと思っていた声が近づいてきた。
「おおっ、久しぶり。お前ら、元気か?」
野中君が大きく手を挙げ、私達の席にやってきた。私は反射的に俯いてしまった。
「あれ、川村じゃん。痩せた? 同窓会のために頑張ってダイエットしたんだ。あんまり無理すんなよ」
野中君が私を見てニヤニヤ笑っているのが下を向いたままでもわかった。
「ちょっと、失礼じゃない? 別に優菜は今日のために痩せたんじゃないし、前からだよ」
早希が私をかばってくれた。
「ヒャッハッハ、そうなんだ。ああっ、そうだ。思い出した。川村って、あれだよな。そうそう」
私は野中君の言葉にへし折られそうになる。今すぐにでもこの場から離れたかった。
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