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誰かに想いを伝えようとあんなに頑張ったのに、一生分の勇気を出して手紙を渡したのに、それが相手にとって迷惑でしかないなんて、私なんかが勇気を出したのが間違いだったのだと、思い知った。私は、ちょうど一生分の勇気を使い切ったところだし、二度とこんな勇気出さないでおこうと誓った。
そんなことがあって、私は男子と関わるのが怖くなり、女子校に進学することに決め、それから、大学も女子大に進んだ。早希が私に付き合って同じ進路にしてくれたのは嬉しかったけど、ずっと、申し訳ないって思っていた。でも、半年前からアルバイト先の男の子と付き合っているから、今はあまり気にしないようにしている。
野中君が去った後も、私のテーブルでは、微妙な空気が流れていた。早希もどうフォローしていいのかわからず、みんな手持ち無沙汰そうにポテトをつまんだり、お酒を飲んだりしていた。すると、急に沢田君が私に頭を下げた。
「川村さん、ごめんなさい」
私は意味がわからず、どうしていいのかわからなかった。
「中学の時、俺も一緒になって川村さんを笑ったんだ。本当は笑っちゃいけないってわかっていたのに、周りに合わせてしまったんだ」
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