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準一
──より良い高校ライフのために彼女を作らんと!
しかし俺はすでに高校ライフの一年を過ごしきってしまった。二年生へと当たり前のように進級した俺は、こうしちゃおれん! と動きをとった。
隣のクラスの河合サチさん。苗字を読むが如くに可愛い顔立ちの女子である。
今朝、教室に入ろうとした時にクラッシュ!
河合サチさんとクラッシュ!
「ごめんなさいっ大丈夫?」
初めて聞く彼女の声も可愛かった。フワッと鼻腔をなでたフローラルというのであろう系の彼女の香りが、男子高校生には刺激が強すぎ、そのまま恋となった。
言ってみれば『動きをとった』のではなく『偶然の産物』がもたらした恋なのであるが。
──よし告白しよう。
俺は朝採りの恋を新鮮なうちに賞味しようと急いだ。
──河合さん、俺と付き合ってください。
俺の容姿はそれほど悪くはない。自分で言うのもなんだが、イケてるほうなはずだ。背だってわりと高めで俺って、いいんじゃないでしょうか?
「えと……ごめんなさい」
河合さんはそれだけ言うと自分の教室へと入ってしまった。
周りの視線が強烈だ。
俺がすぐさま告白しに行ったからだ。
公衆の面前……。
二限のチャイムが鳴る。
──次の恋を見つけなくちゃな。
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