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サチ
私は今、時の人と化している。
──くそ忌々しい!
何も教室の前でコクらなくったって!
おかげで私の周りは大騒ぎよ。騒いでくれるならまだましか。チラチラ見ながら、おそらくは話題にしてるんでしょうね、みたいな人たちなんとかして!
まるで私が風紀を乱してるかのように見たり騒いだりするのもヤメテ!
私には私の恋があるのよ。邪魔になるようなことされて、ホント腹立つ。
だいたい名前も顔も知らないヤツがなんで……なんでってコトもないか。
これでいて私のファンっているから。小学生の頃だったけど。
そうなのよ、そうそう。私ってモテてたんだもん、知らないヤツからコクられて当然か!
この騒動を一気に沈静化させるためにも、私の恋を実らせて〜カップル成立〜が妥当よね。
『サチったら彼氏いたんじゃ〜ん』
なんて言って泡吹けばいいんだわ。
さて、タカシ先輩へとゴーゴー!
下駄箱で捕まえよっと。
──タカシ先輩! 付き合ってください!
きゃは〜言っちゃったよ!
可愛い河合サチちゃんからの告白だもん、先輩嬉しいでしょ〜?
「えー、ごめん。ごめんなさいー」
──え、ちょっと、え〜?
タカシ先輩は急ぎ足でお仲間の輪へと入って行った。先輩は小首を傾げて頭を掻いている。
私のヘマ……誰も見てないでしょうね。騒ぎはイヤよ。
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