ナオト

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ナオト

 なんだよテツヤのやつ〜驚くじゃねーか。怯むじゃね〜かよ〜。  メジャーデビュー狙ってんのにバンド内で色恋沙汰か。  テツヤにもタカシにも諦めて貰わなくちゃいかんからな、仕方ない。  ジェンダーレスがもう少し浸透してからなら……いやいや、俺は違うからそうじゃなくって。  まぁいいさ。  売れりゃいんだ。  で、テツヤにはあんなこと言ったけど俺にも恋ってのがあるってんだ。  最近あっちこっちで恋が盛んだからな、俺もちょっとのっかってみよう。 ──紀子(のりこ)センセ、卒業まで待つからさ、俺と付き合ってよ。  センセのピアノも大好きなんだぜ。一緒にセッションしようよ。 「ナオトくん、ごめんなさい。先生はまだ先生だし考えられないわ。健全に恋をしてみて。でも、気持ちは嬉しかったわ。ありがとう」  紀子センセ……新任で来たあの日から好きだったんだぜ俺は。  メジャーデビューしてから悔しがっても遅いんだぜ。  俺の恋は終わった。  とりあえずテツヤ達にはバレないようにしなきゃな。
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