Live.8

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Live.8

▶ STAGE―2 > player name:Yuppie_07 < 年末に凪沙と莉夏さんにスカウトの話を聴いて貰って、俺自身「やってみないと……」等と言っておきながら、早くも数週間が経ってしまった。 課題制作に時間が掛かってしまったのもそうだし、数人からコラボに誘われたのもあって、ちょっと忙しかった。いや別に、言い訳じゃなくそれは本当。 それに……未だに信じられないという気持ちも、自信のなさも消えてはいなくて、とにかく(早く返事をしないとダメなのに、踏ん切りがつかない……)という、焦りが混ざった思いが、常に頭の中を駆け巡っていた。 そんな思いで歩いていたらか何なのか……気付けばゆか兄の家のリビングに居て、たむろしていた中学生や高校生を相手にゲームをしていた。 家主であるゆか兄は寝ているというし、凪沙と莉夏さんは仕事に行っているという。 (俺は此処で何をしてんだろ)と思った矢先「おはょ……いま何時や……」と、カスカスな声が聴こえた。ゆか兄が起きてきたようだ。着物の胸元を少し開けさせたまま、人目も気にせず大きなアクビをして、口に咥えたタバコに火を点ける。 (悔しいけど、やっぱゆか兄カッコイイな……それに、なんかエッチ……)と、変な所に気を取られていたら、近くにいた女の子が「もうすぐ18時になるよ~」と大きな声で、ゆか兄に返事をしていた。  すると「ゆかっち~、結人に勝てない~」「ゆかっち、数学教えて」などと、次から次へと少年少女達が口を開く。当の本人は「あ~はいはい……」と適当な返事をし、タバコを吸いながらコーヒーを淹れている。  暫くして、リビングに来たゆか兄が「ゲームっちゅう気分やない」と言うと、ゲームはまた今度という事になった。そして「勉強は見てやる」と言い出した。そして急遽、勉強会のような雰囲気になった。 その様子を見ていたら(俺も何かしよ)と思って、カバンからスケブを取り出して、思い付くまま鉛筆を走らせた。描き始めたら止まらなくなって、ゆか兄の声で我に返った。 「じゃあ今日はここまで。時間も時間やし、続きはまた今度な」 ゆか兄の言葉につられる様に時計を見ると、もう少しで20時になるところだった。皆が勉強道具を片付け始めたので、俺もスケブとペンケースを片付けた。  片付けを終えた皆が「またね~」「お邪魔しました」と、口々に言って帰った後、ゆか兄が「ほんで結人はどないしたん?」と訊いてきた。俺はドキッとしながら「えっと……ちょっと……相談?」と、途切れ途切れに答えた。 「なんで疑問形なんや」と笑いながら言うゆか兄に、俺はなんて切り出そうか悩んだ。 「ちょお、気分転換するから付き合うてくれや」 「そんな気分じゃないんじゃなかった?」と言いつつも、ゆか兄とゲームが出来るのが嬉しくて、俺は「まぁ、いいけどね」と言ってコントローラーを握った。 2人でゲームを始めてから2ラウンド目。開始早々、何気に(このゲームが終わったら話そうかな……)そう思っていたら、ゆか兄が「結人、そっち行ったら敵に囲まれんで」と言われた。 「えっ?あっ、わあぁ〜殺られた〜!ごめん……」 「ふはっ……ゲーム中にボーっとしとるからやろ。今日はもうやめとくか」 ゆか兄が笑いながら言うと、俺は"GEME OVER"と映し出された画面を見たまま、無言で頷いた。それを見て、ゆか兄は「ほな消すで」と言いながら、ゲームやテレビを消すと、キッチンに向かって歩き出した。俺はその後を追うように、着いて行った。 ゆか兄が奥の椅子に座って、タバコを咥えて火を点ける。俺は(今がチャンスなのでは?)と思って、話をする事にした。 「俺さ……大手の事務所から、本格的にVTuberデビューしないか、ってスカウトされたんだけどさ……」 「そら良かったなぁ~、って……おいおい。なんや辛気臭い顔しよって。嬉しくないんか?なりたかったんやろ?」 「そうなんだけど……」 「まさか怖気づいたんか?」と、図星を指された気がした。 (あ、この踏ん切りがつかないてやつ……怖気付いてるって事なのかな?解んないけど、そんな感じかも知れない) 俺が考え込んだ所為かは解らないけど、ゆか兄が「ん~、勢いで始めた時とえらい違いやなぁ。あ、メシ食う?」と暢気に言った。 俺が「食べる」と言うと、ゆか兄は夕飯を作り始めた。その後ろ姿を見ながら、思ってる事をたどたどしく口にした。 「だって大手だよ?しかも憧れてた配信者さんと同じプロダクション」 「そら良かったやないか」 「でもぶっちゃけ……そんな大手が、なんで俺なんかに?って思うじゃん?」 「なるほどなぁ」と返事をしながら、手際よく2つのフライパンを操っている。 「そういえばさっきから、オウムみたいに大手大手言うとるけど、どこの事務所なん?」 「Krone芸能プロダクション」 「Krone芸能プロダクションなぁ……う〜ん……クローネか……クローネ?!」 ゆか兄こそオウムみたいに繰り返していた。そして、最初こそ何か考え込んでいる表情だったけど、暫くして何かを思い出した様な表情をした。 「え、何?」 「あ、いや……俺の本が映画化した時、クローネの俳優やら何やらが、関わってた記憶あるな〜思おてな……」 その言い方が、何かをはぐらかしてる様な気がしたけど、ゆか兄の事だから、単に忘れてただけの気もする。 「あ、メシ出来たで」と言いながら、ゆか兄はチャーハンとギョーザを、2人分の皿に盛り付けて、テーブルの上に置く。 そして引き出しからレンゲをそれぞれの前に置くと、戸棚から「インスタントで堪忍な」と言って、インスタントの中華スープを取り出した。それをお椀に入れて、ポットのお湯を注いだ。 「これだけで充分。いただきま~す」 「召し上がれ」 ゆか兄も「いただきます」と言いながら、2人で遅めの夕飯を食べ始めた。 「ねぇ、さっき言ってた映画化した本ってどれ?」 「さぁ……どれやったかな?」 「いっつも思うんだけど、自分の書いた本が映画化やドラマ化してんのに、どの本だったか覚えてないとか……マジありえなくない?」 「そないな事言われても、そういうん興味ないしなぁ」 「そういうトコだよゆか兄」 俺は心底呆れてしまった。いくら興味がないとはいえ、普通は覚えてると思う。でもゆか兄は本気で忘れる。 (マジで興味なさ過ぎだろ。でも映画は好きで、幅広いジャンルの作品観るんだよな。なのに自分の作品ってなると、まるで覚えてないとか……意味解んない) 「いや、待て待て。今、俺の事はどうでもええねん。それよりお前の事やろ」 「そうだけど。うん、そうなんだよな……」 「まぁ、自信ない言うんは解った。けど、最初は皆そうやと思うで」 「それはナギ達も言ってた。自信ないって。ナギ達くらいになっても、自信がないって言われたら俺なんて……」 (これが怖気付いてるって感じなのかな〜。だから先に進めないのかな……え〜、なんか今の俺って女々しいっていうか、情けなくない?) 常に自信を持って堂々としてる人達の、メンタルがどうなってるのかが知りたいとすら思えてきた。 「まぁ、そう思おてるうちは、自信なんて付かんやろな。せやけど、過信に気付かずその上に胡座かいてるよりはええかな」 「は?え〜と、難しくて解らないんだけど……つまり、自信を付けるには自信を持てって事?自信ないって言ってんのにどうやって自信付けろって?」 ゆか兄の話が上手く理解出来なくて、頭の中で整理しながら話したものの、結局また疑問形になってしまった。 「まず、スカウトされた事に自信持て。なりたい奴なんてぎょおさんおる。けどそん中から、お前が選ばれたんや。自分からオーディション受けた訳でもなく、向こうさんから声掛けてきたんや。充分、自信持ってええやろ」 「う〜ん……そうなのかな~?」 「せやから、なんでさっきから疑問形やねんて。ほんま結人はおもろいなぁ」 そう言われると、Vのオーディションを開催した事がないクローネからのスカウトは、確かに自信を持つのに充分だとは思う。 まぁ……V以外でも、オーディションの合格率は低いって言わているらしいから、スカウトされる事が既に凄い事なんだろうけど。 「それだけ凄いトコから、なんで俺だったんだろう……」 「たま~に、考え方がネガティブになるの、なんでなん?」 「たまにかな?普段から結構ネガティブ思考だと思うけど」 「あぁ、いつも頑張って猫被っとるんやったな」 ゆか兄に揶揄うように言われると、なんだかそれは違うって気になってくる。 「猫被ってるのは事実なんだけど。いや〜でも、そんなにネガティブ思考でもない気もするんだよな……」 そんな曖昧な返事をしたら、すかさず「どっちやねん」とツッコミを入れられた。 「スカウトしてきたって事は、結人自身も気付かん、魅力みたいなモンがあったっちゅう事やろなぁ」 そう言って立ち上がったゆか兄は、「ごちそうさん」と言いながら食器を片付ける。俺も「あ、ごちそうさまでした」と言いながら、食べ終わった食器をシンクに運んだ。 「ていうか"みたいなモン"ってなんだよ」 「悪い悪い、いい例えが浮かばんくてな。せやな……有り体に言うんなら、結人は磨けば光る原石って事やろ」 「えぇ~磨いても光んなかったらどうすんだよ」 「アホやな〜、よう考えてみぃ。事務所側は光る思おてるから、スカウトしたんや。せやなかったら、スカウトなんてしぃひんやろ」 ゆか兄の言い方がなんか屁理屈っぽくて、それを本人に言ったら「屁理屈でもええねん。それが理由や自信になるんやったらな」と言って笑った。 「あ~、いっつもこうして結果的に、ゆか兄に言いくるめられるんだよな」 「随分と人聞きの悪い言い方するやん」 「ホントの事じゃん」と言い合ってるうちに、なんか可笑しくなってきて、思わず笑ってしまった。 「結人。ほんまは、やりたいんやろ?」 「そりゃあ、憧れのはちさんもいるし……こんなチャンス、もう二度とないだろうから、やってみたい……とは思う」 「ほな、自分の好きにやればええ。思おとるだけじゃあ、前には進めんぞ」 ゆか兄は優しく微笑む様に笑うと、無言で立ち上がって、座っている俺の頭をポンポンと撫でる様に叩いた。そして、奥の椅子に移動すると、タバコを取り出して吸い始めた。 (頭ポンポンとかヨシヨシとか、めっちゃ子供扱いされてる気になるけど、ゆか兄にされんのは嫌じゃないんだよな……寧ろ、落ち着く感じするから好き。でも蓮達の前でやられんのは、恥ずかしいからマジでやめて欲しいとは思う) その時、俺のスマホが鳴った。着信音から察するに、相手は蓮だと思った。テーブルの上に置いておいたスマホを見ると、やっぱり相手は蓮だった。 「はいは〜い」 『兄さん?今どこ?』 「ゆか兄ん家。あれ?LINEして……」 『ないよ。ずっとLINEしてるのに既読つかないし』 「あ〜マジ、それはごめん。今から帰るから」と言って、電話を終わらせた。 「ゆか兄、そんな訳だから俺帰るね」 そう言うと、カバンを持ってキッチンを出る。後ろを着いてくるゆか兄が、思い出したかの様に話し出す。 「せや、蓮と怜も心配しとったで」 「バレてたのか〜」 「お前らしくない言うてたわ。けど大事なんは、結人の気持ちやからな」 「まぁね。でも話し聴いて貰って、ちょっとスッキリした気がする」 玄関で靴を履いてゆか兄の顔を見ると、ゆか兄は外の門まで一緒に歩いて来た。 「ほうか、なら良かったわ。近いとはいえ、暗いから気ぃ付けて帰るんやで」 「解ってるよ。じゃあまたね!」と言いながら手を振ると、ゆか兄も小さく手を振り返してくれた。 家に着くと、待ち構えてたかのように蓮が「も〜心配したんだよ?!」と、怒りながらも抱き着いて来た。 「ごめん、ごめん。ほら、手洗うから離れろって」 「兄さんを摂取するのが先」 「おいおい……」 くっつき虫と化した蓮を引き離し、俺は手を洗ってから部屋に戻ろうとした時、蓮が「下の電気消すよ」と言った。 「ごめん、忘れてた」 「今日の兄さん変じゃない?もしかして疲れてる?」 「そうか?あ〜でも最近、ちょっと忙しかったから疲れてんのかも」 多分だけど今日に限らず変だったと思う……特に、脳内に関してはめっちゃ自覚ある。でもそこに、蓮も怜も敢えて触れてこなかったのは助かった。きっと、ゆか兄に「今は黙っとけ」的な感じで、止められたんだと思う。 「明日は休みだし、朝食の心配はしなくていいから、ゆっくり休んでね」 「お〜、解った。じゃあおやすみ」 「おやすみなさ〜い」 俺は部屋に入って電気を点けると、カバンを置いてそのままベッドにダイブした。 さっきの蓮に対する言い訳は、いつもみたいな適当なモノじゃなく、割りとガチだったりする。脳内に関しては、スカウトの話もそうだけど、学校の事も含まれていた。 何故なら……終わらなかった冬休みの課題も少し残ってるし、日々の課題もある。学年末に提出しなければならない、ポートフォリオの作成も始めないといけなかった。 その上、いつも編集をお願いしている怜が忙しくなり、自分で編集をしなければならなくなった。これが地味にキツかったりする。 (ゆか兄かナギに観て貰おうかな……いや、ナギは忙しいから無理か。でも、ゆか兄だっていつも暇な訳じゃないし……。こういう時ってやっぱ事務所に入ってると、相談に乗って貰えたり、教えて貰えたりすんのかな……) そんな事を考えていたら、着替えるのも忘れていつの間にか寝落ちしていた。起きたら昼前になっていて、ボーッとしながら下に降りて行った。 家の中はやけに静かで、俺は(蓮のヤツまた部屋に籠って勉強してんのか?)と思ったら、キッチンのテーブルの上に、ラップが掛けられた不格好な姿のおにぎりと、置き手紙があった。 置き手紙には、怜の所に行って来る事と、おにぎり食べてね的な事が書いてあった。あと蓮の好きな、キモかわいいキャラのイラスト。 (このキモかわいいのの、どこが良いのか解んねぇけど、ゆか兄と莉夏さんもこれ好きなんだよな……いや、その2人ならなんか解らなくもないけど、蓮がこれを好きってのが謎) 俺はシャワーを浴びて着替えると、蓮が作ってくれた不格好なおにぎりを見ながら(三角に握れないなら丸でもいいと思うんだけど、丸ですらないんだよな……)と思った。 そんな事を思いつつも作ってくれた事が嬉しくて、写真を撮ると、それをSNSにupして「いただきます」と言って食べ始めた。 おにぎりを食べ終わると、課題より先に動画を撮る事にした。本当なら先に、課題を終わらせるべきなんだろうけど、一番時間が掛かりそうな物からやる事にした。 (動画を撮る事自体は、そんなに時間掛からないけど、編集に時間掛かりそうだしな) そんな事を考えながら、動画る為に色々と準備をする。準備が終わると、ペットボトルの紅茶を用意して、モニターの前に座って撮影を始めた。 キリのいい所で一旦、休憩する事にした。最近流行りのゲームで、俺も最近始めたけど初心者には厳しい。特に野良でプレイしてると、いくらFPSやTPSが得意だって言っても正直キツいと思った。 因みにFPSもTPSも視点が違うだけで大差はなくて、ゲームの内容は簡単に言うとシューティングゲームです。 (あ゙〜めっちゃ介護された〜。誰だか解らないけど今日のお仲間さん、皆さん優しくて良かった) 中には放置される事も多かったり、酷いと文句を言われたりもする。こういうのは昔からあったから気にしないけど、最近は、介護される方が申し訳ない気持ちになってくる。 (もっと練習しないとダメだな〜。でも今そんな時間ないしな……こうして"野良で練習"って名目で、録画も兼ねてプレイしてるけど……これ使えんのかな?) 編集次第では面白く観せる事は出来るけど、なんせ編集するのが怜じゃないという不安が残る。とはいっても、怜だって頑張ってる訳だから、負担を掛ける訳にもいかない。 何気なくスマホを見ると、LINEが届いていた。1つは蓮からで、怜が泊まりに来るというもの。もう1つは凪沙からで、スカウトの話はどうなったかというもの。 時間を見るととっくに夕方になっていて、そろそろ夕飯の事を考えなくては……と思った。暫く考えても何も浮かばないので、蓮に『夕飯は何がいい?』と返信した。 次に凪沙に返信しようとして、俺はまずスカウトのDMに返信していない事に気付いた。 (あ、ナギに返信する前にDMに返信しないとダメじゃん)と思って、俺はクローネからのDMを開いて返信をクリックしてから、本文にスカウトを受ける事を書いて送信した。 そして凪沙に『今、スカウトを受ける返信した!』と送った。すると間髪入れずに『お~、や~っと決心したか。うむうむ。で?受けるのはいいけど、いきなりデビューって事はないよね?』ときた。 俺は、後日改めて面談と軽い撮影があるらしい事を、文面で告げた。凪沙は『え、いついつ?あ、ボクも一緒に行こうか?』と、やたらノリ気で返信してきた。 『さっき受けるって返信したばっかりです。日程はまだ送られてきてません。あと、着いて来なくていいから!』 『クローネ広いから、結人じゃあ迷子になるよ?』 『何とかなるだろ』と、不安になりながら返信する。 『まぁ、もし不安なら一緒に行くから、早目に言ってね~。そんじゃボクは、このまま嫁を迎えに行くから!またね~』 俺は凪沙にスタンプを送ると蓮のLINEを開いて、夕飯をどうするか再度聞いた。暫くして蓮から『何か買って帰ろうか?』と返信が来た。 (今から買い物行くのも作るのもダルいからな……テイクアウトしてきて貰うかな) 『じゃあ何かテイクアウトしてきて』と送ると、また少し間があってから『じゃあ、何かテイクアウトするよ。18時〜19時には帰れると思いま〜す』というメッセと、例のキモかわいいキャラのスタンプが送られて来た。 (だからお前と、このキャラのギャップ……。そんじゃあ、2人が帰って来るまで撮影しようかな) そんな事を考えながらモニターを見ると、メールが届いていた。俺は何も考えずにクリックすると、相手はクローネからで、俺は思わず「返信早っ」と、声に出してしまった。 その内容には"受けてくれてありがとう"的な事と、面接の日時と、場所を伝える内容が書いてあって、ついでの様に地図が添付されていた。そのメールを何回も見ていた。 そして改めて、今日の日付を確認して(ん?27日って……再来週か……え、はや……)と思った。いや、これが早いのか遅いのかは解らない。だけど、少なくとも俺の中では早いと感じた。 (て事は、それまでに何本か動画編集と、課題を終わらせておいた方が良さそうだな……)という事だけは、辛うじて理解した。 そして"大切なのは前に進む事"と、自分に言い聞かせる様に心の中で繰り返した。
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