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「ごめん、待ったよね?」
駅前に美佳さんが舞い降りた。
無邪気な笑顔と共に、美佳さんが車の助手席に乗り込んだ瞬間
ふわっ
どんなアロマよりも甘い匂いが車内に漂う。
「フレグランス…」
「ん?何か言った?」
首をかしげる仕草。
可愛いぜちくしょう!!
「んーん、何でもないよ。映画まで時間もあるし、先に少し早めのお昼ご飯でもどうかな?」
「あ!私もちょうど同じこと思ってたんだ!昨日調べたらね〜、映画館の近くに…」
話しながらスマートフォンを触る美佳さん。
紺色のコートにクリーム色のマフラー。
THE 冬服コーディネート。
少し毛先をカールしたのは
きっと今日のためにアイロンしてくれたのかな。
あ
この間も付けてた中指の指輪。
何か大切なものなのかな。
それと…
「ねえ、翔也くんはどれがいいと思う?」
「え?え、え〜っと…ここのカフェなんてどうかな?内装もおしゃれだし、映画館と同じ建物にあるよ。」
「一緒一緒!私も昨日ここがいいなぁって思って見てたんだ!じゃあ運転、よろしくお願いします!」
小さく敬礼のポーズをとる美佳さん。
くう〜〜〜
その萌え袖がまた!!わざとか!わざとなのか!
気持ちをグッと抑え、前を向く。
頬が少し火照るのが自分でもわかる。
はあ
こんなに横向きで運転したいのは、人生初めてかもしれない。
…いやだめだだめだ。
今日は美佳さんとの大切なデート。
俺が美佳さんを危ない目に遭わせるわけには。
心で自分に鞭を打つ。
…よし。
「とりあえず、映画館までナビをセットするね。」
「あ、なら私が住所言うね。えっと…」
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