樹海での告白

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「えー、樹海探索ツアーが終わった訳ですが、特に何も起こりませんでしたねぇ」 「まあ都合よく何か見つかるわけないよな」  道路脇に駐車した車の中で、男達は動画のオチを撮り始める。特に見所がなかった動画になってしまったためオチだけでもしっかりと撮影する必要があった。 「あ、でもカメラになんかオーブみたいのが映ってなかった?」 「バカ。あーいうのは塵とか埃が光で反射しただけなんだよ」 「うーん、まあでも本物のオーブが映っていたってあんまり怖くはないよなー」 「それは言える」 こうなったらなにか無理やりにでも心霊現象っぽいことでも起こすしかないと思った男のうちの一人は、オチの展開を探すように車窓から樹海の方を眺める。すると視界に願ってもいなかったものが映った。   「おい、ちょっとあれ見てみろ!」  それは何かが樹海に入っていくところだった。ここからは暗くてよく見えないが、人影のようにも見える。ふらふらとした足取りで真っ暗な森の中に導かれるように進んでいるようだった。  男達は顔を見合わせる。バズること間違いなしと悟った二人はカメラを片手に勢いよく車から飛び出した。
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