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スープ:ミネストローネ
私の人生は桜で始まり桜で終わった。
近所に有名な桜並木がある。幼かった私はよく両親に連れられお花見をしていた。1番古い記憶もこの桜の景色であった。
そして少し前30歳になり、今度は自分が親を連れてお花見をすることにしたのだ。久しぶりに見る桜は昔と全く変わっておらず、ただ少しだけ桜との距離が近くなった様に感じた。そんな私を両親も嬉しそうに眺めており、それは最高の一時だった。
ただ気づかなかっただけだったのだ。すぐ横の車道から迫り来る車に。意識を失う寸前のこと。再び桜との距離は遠くなり匂いも花から血に変わり、その景色は桜が無色と思えるほどに主役が奪われていた。私は一命を取り留めたが両親は助からなかった。どの桜も同時に散るように、私も一緒に散る方が良かったと思ったよ。
私が赤く染まったミネストローネを飲み終えた頃、次の料理が運ばれて来るのが見えた。
話の続きは人生の終わりの始まりとでも言うべきか。私はこの惨劇の先に二つの出会いを得ることとなる。
「お待たせ致しました。こちらは魚料理の白身魚のクリーミー仕立てでございます」
ウェイターは銀色のクローシュを持ち上げる。
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