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切ない系BL
受け side.
君は、今日もまた同じことを繰り返す。
俺も、自分の気持ちを誤魔化して見て見ぬふりをしたり。
お互い気付いてないふりして日々を過ごす。
ベットに身体を沈めてどのくらい経っただろう。
スマホ画面には何通ものメール。
フキダシは右側ばかり。
既読はつかない。
いつも通り。
電話だって、出るわけない。
「はー...」
真っ暗な空間に溜息が零れる。
瞼が閉じそうになったとき、玄関の扉が開いた音がした。
「なんだ、起きてたんだ」
「うん、おかえりなさい」
─変なアクセサリーなんかつけちゃって。
おまけに、女の人の香水の匂いも。
俺が大好きだった匂いは随分と嗅いでいない。
「電話したけど、きづかなかった?」
「あ、ごめん」
「ううん、いいよ」
「おやすみ」
「ん、おやすみ」
布団を深く被り、溢れ出てきそうな涙をぐっと堪える。
泣くぐらいなら別れろよってかんじだよね。
でもね、俺は
"嘘つきな此奴も好きだから"_
人に包まれるような感覚がして目が覚めた。
ゆっくりと重い瞼を開ければ、俺の大好きな匂いがして嬉しかった。
俺と色違いのシャツ着てるし。
ぎゅっと袖を握る。
これは夢かもしれない。
夢でもいい。
夢でもいいから、伝えたい。
「何処にもいかないで」
俺の放った言葉は儚く散った。
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