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その頃、お父さんは体調を崩して入院していて、退院して来たばかりだった。
やはりあまり後になるのが嫌だったぼくは挨拶だけでもさせてもらいたくて急に伺うことを彼女と決めた。
いきなりは申し訳なかったけれど会ってもらえそうもなかったんだ。
すでに、彼女がご両親に話して反対されていたから。
いきなりだったけれど部屋に上げてもらえた。
お父さんは、話を聞いてくださった上ではっきり断わってこられた。
寒い夜に、暖かい部屋……ぼくが持参したケーキを出して下さったけれど、誰一人、手をつけることなく、段々に形が崩れていくのを見つめていた。
それは、ぼくと彼女の未来だなんて知らないまま。
また、伺うつもりでその日は失礼した。
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