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それから5ヶ月、ぼくはもう社員食堂にも行かなくなっていたし、彼女のフロアーとは全く違う建物にいた為、会うことはなかった。
ぼくといえば、仕事帰りにあのバーに立ち寄り飲んで帰るのが日課になっていた。
その日は、バレンタインデーで義理チョコをたくさんもらってバーに顔を出した。
少しマスターに置いて行ってあげようと思ったからだ。
マスターは「今日は春一番だそうですよ。風が強かったでしょう」と言った。
ぼくは「春一番か、道理ですごい風だと思った」と話を合わせた。
すると携帯に着信を知らせる音楽が鳴った。
見ると"彩乃"と表示されていた。
突然で驚きながらもまだ消していなかったんだなと一瞬頭をよぎりながら電話に出た。
どこにいらっしゃいますかと聞かれてバーだと告げるとその近くまで行くので少しだけ出てきて欲しいと言う事だった。
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