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さらに幾日か過ぎたある日、驚愕の懺悔を聞いた。森番の告解だ。
「神父さま。私は仕事場を穢してしまいました」
「仕事場、といいますと」
「森です。深い森に遺体を埋めてしまいました。遺体といってもほぼ骨のようで、初めは何だかわからなかったのです。……そして、実は今度もまた、森の奥深くに秘密の場所を用意してくれという依頼を引き受けてしまいました」
「な、なぜ、そのような依頼を受けてしまったのですか?」
「一度、穢してしまったら、何度やっても同じです。……私も結局……いえ、なんでも」
「”あの人”とは、どなたですか? こ、この村の人間なのですか? やはり今度も”ヤツ”をうずめるつもりなんですか?」
「へぇ。いろいろご存じなんですね。ええ、おそらく。今度も同じことになるでしょう。……そう思っていながらも私は承諾してしまった。あの人の教会への憎しみは止まらない。ああ。神よ。お許しください。」
「……こ、今後、二度とこのような過ちを犯さぬよう……」
ああ、彼だ。マースは思った。”あの人”と呼ばれる人物は教会に恨みがある。殺された者は分厚い衣服を着ていて――これまでの罪びとの告白を繋ぎ合わせてみると、亡き者は忽然と姿を消した前任の司祭、ダズに違いない。彼には修道士時代、世話になった恩がある。再会を果たすつもりでこの地へ赴いてきたのに、こんな形で彼の軌跡をたどることになるとは。
マースはいよいよ筆を取った。守秘義務と恐ろしさの狭間で、何度筆をおいたことか。しかし、そうも言っていられない。もう罰は恐ろしくなかった。
(……となると ”ヤツ”というのは……)
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