罪深き人々

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 幾日か過ぎたある日、凄惨な懺悔を聞いた。粉ひきの告解だ。 「神父さま。僕は恐ろしものを粉にしてしまいました」 「……といいますと」 「僕は骨を引いて粉にしてしまいました。ざりざりとして、どんなに引いてもなめらかにならなくて。粉というより砂のようなものになってしまったんですけど。……それで、実は今度もまた、特別なものをこなにしてくれという依頼を引き受けてしまいました」 「……悔い……改めなさい」    マースは嗚咽が漏れぬよう両手で口元をおさえつけた。その手の上を涙が次々と流れていく。粉ひきが告解部屋を後にすると、マーズはその場で崩れ落ちた。 (……ああ、ダズ神父……)  次の告白はなんだ。もう、粉にまでなってしまったのだ。これ以上、ありようがない。  ”あの人”本人が告解に訪れようものなら、果たしてゆるしを与えてよいものか。マースは胸の猛りがおさまるよう、祈りをつづけた。  その頃になると、少しの物音でも背後が気になる。村人の誰もかれもが”あの人”ではないかと思えてしまうのだ。  この辺境の地から教皇領へ手紙が届くまで五日はかかる。本部からの使者か、はたまた役人が来るまでは恐怖との闘いだった。
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