49

2/6
前へ
/306ページ
次へ
「帰りません」 断固たる決意を無駄にみせる男。 「はぁ……」 「溜息は傷つくよ。明日で帰国しちゃうんだよ。ヌナに次会えるのはいつになるか分からないんだよ」 「私達は金曜日に渡韓するし」 「会えるか分からないし」 「会えるよ。Heavenの専属なんだし」 「明日だって、バタバタして、気づいたらいなそうだし」 たまに鋭い。 牧場からホテルに戻り、部屋に帰ればソユンがすぐにやってきた。 「荷物は整理したの?」 「まだ」 「明日も仕事でしょ?そのまま帰国するんじゃないの?」 「そうだけど」 「荷造りしといでよ。ご飯頼んでおくからさ」 「え?」 「早くやっといで」 「マキヌナがデレた?」 「やっぱ帰ってこないでいいや」 「シルタ!すぐに戻るから」 ソユンは部屋を飛び出して行った。 その姿に笑みが溢れてしまった。 そこにドアから顔を出したのはサヨ。 「ダッシュしたのはソユン?」 「サヨ。お疲れ様」 「追い出したの?」 「荷造りさせに」 「って事は、今夜は?」 「ニヤニヤしないの。夜食頼むけど、サヨも食べない?」 「ソユンにキレられそうだからいいや」 「キレはしないでしょ」 「不機嫌になるのは確定でしょ。じゃ、また明日ね」 「また朝食で」 開けてあるドアからサヨは自分の部屋へと戻っていった。 ちゃんとドアを開けっ放しで出て行くソユンに、苦笑してしまう。 閉め出したりしないのに。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加