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今日はちゃんと話をしよう。 そう思っている。 思っている事は口に出さなければ、何も伝わらないから。 夜食をルームサービスで頼み、シャワーを浴びる。 髪を乾かしていると、ドアチャイムが鳴った。 ルームサービスを部屋に運び入れ、バーカウンターからビールを取り出し、一足先に飲み始めた。 二本目を開けた時、ドアチャイムが連打される。 うるさい。 ドアを開けると、ソユンが飛び込んできた。 「終わったの?」 「うん」 「何飲む?」 「ボクやるよ」 自分で飲み物を取りに行った。 そして、当たり前の様に私の右隣に座った。 「何で隣?」 「こっちに座れば邪魔にならない」 そう言い、私の腰に左手を回した。 どんだけ密着するんだ? 「私からしたら、邪魔だけど?」 「そんな事、言うのマキヌナぐらい」 そう言いながら、ビールを飲み、夜食に手をつけ始めた。 ソユンの体温を間近に感じ、ちょっと擽ったい。 「ソユン」 「ん?」 「あんまり、皆に迷惑掛けないでね」 「迷惑?」 「うん。仕事だもの、いつでもソユンの側に居られる訳じゃないし」 「……」 「特に韓国に帰ったら、気をつけてね」 「なにを?」 「私の仕事、無くさないでよ」 「無くす?」 「そう」
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