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「マキヌナ、もういい?」
「何が?」
「抱きしめても」
「ダメって言ったら?」
「ダメって言うの?」
「言わないよ」
私は自分からソユンに抱きついた。
ソユンの首に顔を埋めると、あの匂いがする。
「ソユンは香水はなに?」
「あのブランドの」
「良い匂い」
「マキヌナも良い匂いだよ」
「私のは、きっとアロマだね」
香水をつけてしまうと、アロマの匂いと混じり変な匂いになってしまう事があるから、香水はつけないようにしている。
「我慢できない」
そう言い、私を簡単に抱き上げベッドへと運んだ。
「今夜は寝かせないかも」
「寝てね。明日も仕事だもん」
「分かってる」
ソユンのキスを受け入れてしまえば、あとは堕ちていくだけ。
好きなだけ彼の身体に触れ、顔に触れる。
完璧な造形美が今は私だけのもの。
「マキヌナ、ほんとボクの顔が好きだよね」
「ソユン、私の名前知ってる?」
「マキ、でしょ?」
「真木あんず」
「え?」
「だから、真木あんず」
「アンジュ?」
「あんず。ず。が言いにくいかな?」
「アンジュ」
「それでいいよ」
「アンジュヌナ」
「ヌナはいらないよ」
「アンジュ」
「うん」
やっぱり、少し擽ったい。
ソユンの温もりを感じながら眠りについた。
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