僕が私で、私が僕で

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 彼女と知り合ったのは、落し物を交番に届けたことがきっかけだった。 「ありがとうございます! 本当に助かりました!」  もし僕が悪人だったら、中身だけ抜いてからっぽの財布は捨てていたかもしれない。中身も見ず、拾った財布を交番に届けただけ。ただそれだけで、こんな天使と知り合えるだなんて……。  その上、彼女から「お礼がしたい」と食事に誘ってもらえるなんて。生きていて良かった! 生きていて良かった! と、何度も繰り返しながら、待ち合わせ場所の駅へと向かった。
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