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「ん~…まぁ飛鳥の家に比べたら…ねぇ?谷口は小さいしなぁ…。母方の方なら聞いたことあるかな。西園寺家」
「あぁ、西園寺家…。それなら納得…かも?」
西園寺家と言えば、術者の中で十本の指に入るぐらいには大きな家だ。今は全盛期よりも小さくなっているけれど、西園寺の名を冠する術者は年々強くなっている。正直信じられない…が、ここで嘘を吐く理由もない。父さんも頷いてるし、本当なんだろう。
「ど?信じてもらえた?」
「まぁ…」
「それならよかった!んじゃ、始めようぜ」
す、と感情を消して、貼り付けたような微笑みを浮かべる彼。その表情は間違いなく、術者のものだ。お互いの腹を探りあうときに、相手を優位に立たせ過ぎない為に、よくやる顔。……そっか、本当に術者なんだ、廉くん。
「――それでは、全員揃ったことだしまぁ…始めるか」
父さんが放った一言に背筋を伸ばす。一瞬で、部屋に満ちる空気がひりついたものに変わった。
「まず、今回のお役目に関わる術者は二名。桐山飛鳥、及び谷口廉。危険度はそこまでないことと、飛鳥が居るため、二名のみとなる。ことによっては人員を増やすつもりではあるので、遠慮なく言うように」
「はい」
「了解っす」
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