7人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと耳朶を打った、申し訳なさそうな声とぴしゃんっと襖を開ける音。それは、つい数時間前に聞いていた声で。驚きに視線を入り口へ向ける。
「………………………………………………谷口くん!?」
目を剥いて、叫ぶ。声の主は、にぱっと人好きのしそうな笑みを浮かべてひらひらと手を振った。
「よ、飛鳥」
「よ、て、え、なんで谷口くんがここにいるの…!?」
何もわからなくて、ただただ疑問を口にする僕。上座の方にいる父さんは、驚いたような声を上げた。
「なんだ、知り合いだったのか?」
「知り合い、というか、クラスメイトというか、」
「友達っすね!」
僕の隣へ腰を下ろしながら笑う谷口くん。お邪魔します、と中に入る前に一礼する辺り、あぁちゃんとした人なんだなと思いはした…いやそうじゃない。
「……そうか、飛鳥にも友達が…全くそういった話を聞かないから心配していたが…」
「父さん!?なんで泣いてるの!?」
「いや、すまん、嬉しくてついな」
「ちょちょちょ、ほんとになんで泣いてるの?あーもうほら、顔拭いて、鼻ちーんして」
最初のコメントを投稿しよう!