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慌てて駆け寄り、近くにあったハンドタオルを手渡す。目元を拭う父さんの背中を撫でて、落ち着いたらそっともとの場所に戻った。
「俺、飛鳥の友達第一号?やった」
「谷口くんはなんで喜んでるの…?」
何なんだろうこの二人、もう僕わかんないよ。……じゃなくて!
「なんで谷口くんここにいるの!?」
「俺も術者だから?」
「初耳なんだけど!?」
「てか谷口じゃなくて廉な」
「廉くん!」
「よし!」
こんな大きな声を出したのは久しぶりだ。ぜぇぜぇと肩で息をしながら、胡乱な眼差しをたに…廉くんに向ける。
「……本当に…?谷口なんて家名、あんま聞かないんだけど…」
嘘八百だと思ってる訳でもないし、何より父さんが術者じゃない人をお役目に同行させるなんてことがないのはよくわかっているのだけど、やっぱり疑いたくなってしまう。仕事の内容上、どうしたって人の闇に触れてしまうのだ。だというのに、廉くんは明るすぎる。底抜けに明るい。術者の中には、人の闇を真っ直ぐに受け止め過ぎて人間不信になる人だっているのに、何ならそういう人が殆どだっていうのに、廉くんはまるで警戒心がない。
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