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「酷いなぁもう」
言葉では不満を訴えているものの、声音は楽しそうで。
敵わないな、とか考えたり。
「……先輩、」
「ん?なーに?」
「……何でもないです」
呼びかけたはいいものの、何を話すか迷って、そう雑に誤魔化す。先輩は「なぁにそれ」と笑った。
「りーん」
「……なんですか」
「大好き」
「……………知ってます」
なんて、戯れ。こんな時間が、何よりも好きで。
「……えいっ」
不意に視界が明るくなる。先輩の綺麗な瞳が間近にあった。
驚きにぱちぱちと瞬く。しばらくして、布団を剥ぎ取られたのだと気づいた。
「大好きだよ」
「……へぁ?」
真っ正面から告げられた言葉に、馬鹿みたいな声しか出ない。先輩はおかしそうに笑って、僕の頬に唇を触れさせた。
「いつもありがとう、凛」
「え…ちょ…は???」
「ふふ、吃驚してる」
楽しそうな彼。対する僕は戸惑いと恥ずかしさで何も喋れない。
「……うん、やっぱり凛の顔が見える方がいいな」
「ちょっとあの、近いです、近い」
「え~?恋人なんだし普通でしょ」
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