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はじめまして
ぐるりと首を回して、フルートの入った楽器入れを担ぎ直す。
僕は黒峰凜、吹奏楽部所属の、ごく普通の高一です。
……いや、この日本においては普通じゃないかも。
なぜかと言うと、
「りーんっ、一緒に帰ろ?」
「桐村先輩…。僕今日部活なので」
「なぁんで!せっかく恋人が一緒に帰ろって誘って…むぐぐ」
「それ、人前で言うの禁止でしたよね」
一つ上の、男の先輩が恋人だから。
桐村由宇。高二で、生徒会長。眉目秀麗、文武両道。圧倒的カリスマ力で学校を引っ張っていってくれる頼もしい先輩…なのだが、二人で歩いているとよく僕の方が先輩だと思われる。単純に、桐村先輩が低身長なだけなんだけど。
「り、凜の手が僕の口に…やばい鼻血出る」
「怖いですよ先輩」
思わず半眼になって返す。てかほんとに鼻血出てるし。
「ほら、鼻抑えて」
「ん゛ー…」
大人しく鼻を抑える桐村先輩にため息をついて。ほんとにこの人生徒会長なんだろうか。僕といると子供っぽいというか…カリスマ性というのが欠片も感じられない。
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