プロローグ

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プロローグ

 雲ひとつ無い晴天、繊細で綺麗なステンドグラスから差し込む優しい光が新郎と新婦を包み込む。  祭壇の前で誓いのキスをし、その瞬間にカシャカシャとカメラのシャッター音が教会に響き渡った。  いつまで唇を重ねていればいいのだろう。目を閉じてカメラマンの合図を待ちながらこの純白のドレスを着せてくれた人の言葉を思い出した。  何か新しいもの、何か古いもの、何か借りたもの、何か青いもの、この四つを花嫁が身につけていると幸せになれるとか、ヨーロッパで語り継がれているらしい。  幸せか…… 「はい、オッケーです」  そうカメラマンに言われた瞬間唇を離した。なんど唇を重ねたって慣れない柔らかさにはぁと深い溜め息が出る。 「いい写真ができてるといいね」  嬉しそうに笑う新郎に「そうですね」と新婦は真顔で返事を返した。
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