ララーベルの金色の旅路 ーThe Journey of the Golden Lala-Bell ー

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 サリーが地球に到着したとき、彼女はこの新しい世界の違う美しさと文明の発展具合に心底驚きました。 お金というもので物に価値を決めていること、またお金を使って売買が行われていること。様々な種類の人間や生き物。どれも新鮮で斬新で冒険好きの彼女にとってはとっても刺激的でした。  しかし、彼女はすぐに、人間としての生活がいかにネクタリーナと違うかを感じました。 彼女はすでに翼と飛行の自由を失っていました。 そして、彼らは独自の更に無数に異なる種類の言語をたくさん使用しており、サリーのダンスという言語を理解出来ない人間とのコミュニケーションに大変苦労しました.  しかし、サリーは絶対に諦めないことを決意していました。 彼女は新たな価値観を見出し、人間としての知識を身に着けるために勉強し、懸命に働きました。地球上での金の価値についても学び、これまで自分の星で遊ぶためだけに使っていた物がこれほど人々を狂わせているという事実にも驚きました。  今、人間がネクタリーナに来れる技術を持ってしまえば、金を驚くほど持ち帰りこの世界では怖い物知らずになってしまうという恐怖心も覚えました。  サリーは様々な感情を抱えながらも日々の生活を一生懸命こなし、いつかここで学んだ知識をネクタリーナに持ち帰ろうという夢と目標を立てて毎日を精一杯生きました。 時が経ち、彼女の身の回りのことを助けてくれたり、彼女の言いたいことを理解してくれ、地球の様々なことを教えてくれる一人の人間に会いました。  その一人の人間はこの地球上では男性であり、カケルという名前で、自分とは全く違う生き物なのだということをしりました。最初は、カケルに会う度に今まで味わったこともない気分になること、胸が高鳴り、朝も夜も彼を思い、探し、眠れないほど会いたいと思う、その気持ちが何なのか分かりませんでした。  やがてサリーはそれがこの星での愛のカタチなのだと知りました。  時が更に経ち、サリーとカケルの恋が実り2人の間に確かな愛が芽生えた頃、サリーはゆっくりと、しかし確実に地球での新しい生活に適応し始めている自分に気づきます。  また、近頃ネクタリーナでの生活を思い出せなくなっている自分に気づき始めていました。    最初に課せられた使命であった金の価値を学ぶことについては、少し興味が薄れていました。そんな事よりももっと素晴らしい愛という価値があるものに出会った為、サリーはまた違う幸福感に包まれていました。   また、反対にこの地球上での価値観の違いに心を痛めていました。   「どうして人間はこんなに素晴らしい愛というものがあることに気づきながら、目に見えないというだけでお金や物質にそれ以上の価値を与えてしまうのだろう?」 
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