標的

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「おはようございます。お父さん」  僕の顔を見ると同時に父は飛び起きる。   「なにしにきた、なにを企んでる」 「起こしに来ただけじゃないですか、なにも企んでませんよ」  父は僕に疑いの目を向ける。  実の息子に殺害予告をされているんだ。仕方ないだろう。 「朝ご飯作ったんです。一緒に食べませんか?」 「食べるわけないだろうっ!なにが盛られているか分かったもんじゃない」  昨日の殺害予告に、怯えているようだ。  相手にされないと思っていたので、こんな真に受けるとは、少し驚いた。    それから僕は毎朝父を起こしにいった。  一度も食べてもらえなかったが、ご飯だって毎食作った。    日に日に憔悴していく父を見るのが楽しかった。    今日で殺害予告からちょうど一ヶ月が経つ。    父は律儀にも、殺害予告をした息子がいる家に毎日帰ってきてくれた。  殺したいほど嫌いな父親だが、そういう所は嫌いじゃない。    ドアが開く音がした。    さぁ、最後の時間だ。    僕は包丁を持って出迎えた。
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