1人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます。お父さん」
僕の顔を見ると同時に父は飛び起きる。
「なにしにきた、なにを企んでる」
「起こしに来ただけじゃないですか、なにも企んでませんよ」
父は僕に疑いの目を向ける。
実の息子に殺害予告をされているんだ。仕方ないだろう。
「朝ご飯作ったんです。一緒に食べませんか?」
「食べるわけないだろうっ!なにが盛られているか分かったもんじゃない」
昨日の殺害予告に、怯えているようだ。
相手にされないと思っていたので、こんな真に受けるとは、少し驚いた。
それから僕は毎朝父を起こしにいった。
一度も食べてもらえなかったが、ご飯だって毎食作った。
日に日に憔悴していく父を見るのが楽しかった。
今日で殺害予告からちょうど一ヶ月が経つ。
父は律儀にも、殺害予告をした息子がいる家に毎日帰ってきてくれた。
殺したいほど嫌いな父親だが、そういう所は嫌いじゃない。
ドアが開く音がした。
さぁ、最後の時間だ。
僕は包丁を持って出迎えた。
最初のコメントを投稿しよう!