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エピローグ
「まあっ、綺麗なドレスがたくさん!ああ、写真が撮りたい」
私は目の前の光景を見て、歓声をあげた。
そんな私の隣で、婚約者となった彼が口元を緩める。
「お好きなウェディングドレスをお選びください」
そんな私達の前に立っていたウェディングプランナーのお姉さんが、柔らかい笑みを浮かべて言った。
アルバムが埋まった後も、私は「綺麗なもの」の写真を撮ることをやめなかった。癖なのだ。もう、幼少期からの。
だから、私は思う。きっと、本当の最後の一枚を撮るのは今よりずっとずっと後であるのだと。生きている限り私は「綺麗なもの」を撮り続けるであろうことを。
残念ながら、世界中の全てが綺麗なものばかりではないことも、私にとっての綺麗なものが他の人にもそうであることばかりではないことも私は知っている。
それでも。
少なくとも私の世界には、あの大きかったはずのアルバムから溢れるくらいには「綺麗なもの」がたくさんあるのだから。
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