最後の一枚

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最後の一枚

 高校を卒業後、私は大学に進み芸術系を学んだ。  大学を卒業後、祖父と同じように写真家となった私は、大人になっても変わらずに毎日のように写真を撮っていた。最初の頃は全くだったが、今では写真家としてそこそこ稼げるようにもなっている。  そして、そんな私の成長を形にしたようなこのアルバムは、言わずもがな、とりわけ深い思い入れがあるのだ。  だから、最後の一枚はそれに相応しいとびきり「綺麗なもの」が良い。 「何しているの?」  私は背後の声に振り返った。  彼があの頃と変わらない優しい微笑みを浮かべていたから、私も笑みを返す。彼は出会いから10年経った今、社会人として会社で働き、私の恋人となっていた。  依然として側にいる彼に、私はアルバムを見せる。 「ほら、アルバム。もう次で最後の一枚なのよ」  彼はアルバムを覗き込んで、ほう、と息をついた。 「そっか。それは、おめでとう、かな?終わるのはなんだか寂しい感じもあるね」  私はアルバムを撫でて頷く。 「そうなのよね……。それで、せっかくの最後の一枚、何か特別なもので終わりたいなと思っていたのよ」 「そうだね……」  彼は口元に手を当てて考える素振りをする。 「どうしたの?」 「いや、なんでも」  私が尋ねると、彼は珍しくいたずらっぽい笑顔を浮かべて首を横に振った。 「でも、そうだな……予言しようか」  私が首を傾げていると、彼は心底楽しそうに言った。 「ゆうは丁度一ヶ月後に、アルバムを完成させると思うよ」  彼の突然の予言に、私は目を瞬かせ。 「あははっ、何よそれ!」  一拍後、大きな声を上げて笑った。
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