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わざとのように卑猥な言葉をつかうシオンにあおられて、もう止められなかった。頭の中が真っ白になる。全身を大きく震わせて真咲は達った。真咲の身体が脱力するまで待って、シオンがそっと口を離す。彼の唇からたらっとこぼれたものから、真咲は思わず目をそらした。
「いっぱい出たね。ごめん、ちょっとこぼしちゃった」
シオンはTシャツの袖で口元を拭ってから、甘えるように頭を真咲の膝に乗せてきた。彼の薄褐色の髪の毛を指に絡めてみる。まっすぐで細い髪の毛がサラサラとこぼれた。
「……なぁ、シオン」
「なに?」
「人間のセックスと獣身のセックス、どっちが気持ちいいの」
シオンは真咲の膝に頭を乗せたまま、薄く笑う。
「そんなの決まってる。……獣身だよ。ねえ真咲。ちゃんとセックスしてみる?」
真咲の頭のなかで何かがはじけ飛ぶ感覚があった。シオンの上半身を抱えてベッドに引きずり上げる。Tシャツの裾から手を入れて胸の突起に触れる。シオンが小さく身体を震わせた。
「俺も真咲の気持ちよさそうな顔をみてたら、やっぱり抱いてほしくなってきたよ」
「……うん」
「脱いで。真咲の身体が見たい」
シオンの希むように真咲は服を脱いだ。
「……いい身体してるね、真咲」
「シオンも脱げよ」
「うん。ちゃんとゴムも持ってきたよ。プルプルの潤滑油つき」
そういってシオンは、ショートパンツのポケットからコンドームを取り出してみせる。真咲はシオンがTシャツを脱ぐのを手伝ってやった。シオンの肌はすべすべと温かくて気持ちがいい。小柄だが引き締まって、均整のとれた身体つきをしている。
「獣身でエッチするときはね」
耳元でささやかれて、真咲の身体がまた熱くなってくる。
「触覚とか、嗅覚とか、そういうのをすこぅしだけ獣身に寄せるんだ。ぜんぶ獣身に振ったらダメだよ、猫になっちゃうから。ちょっとだけっていうのがいいんだよ」
「どうやって獣身になるんだ?」
「エロいことしてるって意識に集中するんだよ。……ねえ、下も脱がせてよ」
「……」
シオンに言われても、真咲にはまだためらう気持ちが残っていた。しかし、彼の下半身に硬い感触があるのに気づいたらもうだめだった。目の前の欲望に集中することに決める。ひと息に彼のショートパンツを引きずり下ろす。しかしそこで呆気にとられて手が止まる。
「……なあ、シオン」
「なに?」
「いつもこんななのか」
「やだなあ。そんなわけ、ないじゃん。今日は特別にやる気満々なんだよ」
シオンは下着をつけていなかった。しかも、すでにしっかり勃っている。
「真咲。俺のもさわって」
「……うん」
真咲はシオンのものにそっと触れた。シオンは「そんなビクビクしなくても大丈夫だよ」と綺麗な歯を見せて笑う。彼の口元に小さな尖った牙が見えた。真咲は信じられない思いでシオンの顔を見ていた。
――獣身になると、牙まで出てくるのか。
シオンが優しく真咲の頬をなでながら意外なことを言った。
「真咲、すっごくきれい。猫の目になってるよ」
「えっ」
「じょうず。これまでのセックスで猫の目になっちゃったこと、なかった? 普通のヒトとしてたんでしょ」
「ないと思う。こんなヤバい気持ちになったのも初めてだし」
シオンが愉快そうな笑い声をたてた。真咲の手のなかにあるものがぐっと硬くなる。まともに思考できなくなっていく。
――ああもう。なんなんだよ、この感覚。くそっ。
「真咲はどんなスタイルが好き? ネコ科らしく後ろからやる?」
「前がいい。顔が見たい」
「いいね。俺も同じこと考えてた」
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