3114H

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 2月11日、建国記念の日、私はそれを突然知った。名古屋市営地下鉄鶴舞線で開業時から走ってきた3000形の最後の1両、3114編成が運用を離脱したと。9日に運用を離脱したそうで。さよなら運転もない、寂しい最期だった。  以前から最後の1両という事を知っていて、春に引退だろうと思っていたが、こんなにも早く、そして最後がこんなにも突然やって来るとは。  3000形は鶴舞線が開業した時にある車両で、名古屋市営地下鉄初の冷房車で、大型車だ。最初は4両編成だったが、上小田井まで延びた時に6両に組み替えたそうだ。そして、余った2両は新たに製造した9本の3050形の最後の1本の中に組み込んだという。  私がこの名古屋に来たのは高校を卒業し、名古屋の大学に進学した頃だった。ここで新しい生活を始めた時、鶴舞線で最も走っていて、よく見かけるのが3000形だった。古めかしい車体、ゆっくりとしたスタート、他とは違う発車ベルが好きだった。  だが、大学ではうまくいかず、就職先がなかなか見つからない。その時もよく鶴舞線などを使ってハローワークに行ったものだ。その時もよく3000形に乗った。  なかなか就職先が見つからず、両親と対立する時もあった。だけど、僕はようやく就職できた。そして、鶴舞線などで通勤し始めた時も3000形に乗る機会が多かった。  だけど、僕はどの会社も長続きせず、職業訓練校に通った事もある。その時も鶴舞線によく乗り、3000形をよく使った。  職業訓練校に通い出した頃、鶴舞線の新型車両、N3000形の話を知った。いよいよ置き換えの時が来たのだ。だが、まだまだ時間はある。そんなに焦らなかった。  職業訓練校を修了して初めての会社でもうまくいかずに退社した頃、最初のN3000形がやって来た。だが、あまり乗れなかった。何しろ、まだたった1両だけだったから。それでも、乗れた時はとても嬉しかった。だが、その中で3000形は忘れ去られていくんだろうかともその時感じた。  だが、全廃の時は少しずつではあるが近づいていった。年を追うごとに、1本ずつ導入されていき、1本ずつ廃車になっていく。  そして、2015年から2本ずつ廃車になっていく。この年から年に2本ずつN3000形に置き換えられ始めたからだ。徐々に少なくなっていき、N3000形を見る機会が増えていった。でも、3000形もよく見かけたので、そんなに気にならなかった。  時代が平成から令和になる頃、3050形の中でも珍車と言われてきた3159編成が廃車になった。真ん中の2両が3000形だからだ。前と後ろの2両は平成5年と新しいのに、真ん中が3000形なだけに丸ごと廃車になるなんて、もったいないと感じた。だが、それも会社の方針だから、仕方がない。  数年前から、たまに3000形を見かける度に、写真を撮るようになってきた。もう使わなくなり、閉鎖された運転台を見るのが好きで、乗車すると大抵そこにいた。  だが、その中で徐々に3000形は姿を消していき、1年ほど前から最後の1両になった。それが3114編成だ。思えば、東山線の5000形も最後まで残ったのが14番目の編成だ。これは何かの偶然だろうか?  去年10月には団体で走るイベントもあったが、それは乗らなかったし、撮らなかった。これに乗れた人々は、きっといい思い出になっただろう。  そして1月になって、N3000形の最後の1本が落成して、名鉄の大江駅にやって来たと聞いた。私は大江駅にやって来た。そこには名鉄の電気機関車に挟まれたN3116編成が停まっている。それを見て、私は複雑な気持ちになった。もうすぐ3114編成ともお別れなんだ。3000形の引退が近いんだ。いつになるかわからない。来るたびに、これが最後だと思って乗らなければならないんだと思い始めた。  1月31日、この日の帰りに3114編成に乗る機会がやって来た。恐らく、春までに引退するだろうと思っていた。その頃には、さよなら運転をするだろう。その時は、撮りに行きたいな。そう思いながら、いつものように写真を撮った。  だが、それは叶わなかった。2020年から日本でも流行し始めた新型コロナウィルスの影響で、イベントが自粛となる機会が多くなった。2022年からそれが徐々に緩和された。人の波が戻り、イベントが2年ぶり、あるいは3年ぶりに行われるといった機会が多くなった。なので、さよなら運転もあるだろうと思っていた。  あまりにも突然の、そして寂しすぎる引退。そういえば、東急の8500系もさよなら運転なしで突然引退したな。まだイベントを行うほど緩和できていないみたいだ。いずれにしろ、寂しい引退だった。  開業当時から鶴舞線を支えてきた3000形にありがとうと言いたい。できれば、さよなら運転をしてほしかったな。
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