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2週間後の週末、懲りない私はまた遅い夕食の後、リビングのホットカーペットの上で寝てしまった。
すると、また
「ジー、ジー、ジー、…………」
とこの前と同じ音が聞こえて目が覚めた。
どうやらやはり電話機からその音がしていて、近づくと音は止まってしまった。
時間はやっぱり午前4時。
でもその時の私は君が悪いという感じではなく違うことが頭に浮かんだ。
『もしかしたら、ホットカーペットの上で寝ると疲れが取れないから起こしてくれたんじゃないか。電話機が気を使って』
私は心の平穏の為にも自分に都合よく考えることにした。
感情認識AIでもない普通の電話機なのに。
その後、2度あることは3度あるというからまた起きるのかと思っていたのだがそれ以降電話機が気を使ってくれることはなかった。まあ、あの時間に変な物音がするのは精神衛生上あまりよろしくないのでこれ以上同じ事が起こらなくてよかったということにした。
それでも私は相変わらずホットカーペットの上で寝るのをやめられなかったので、もしかしたら仏の顔も3度までというように、もう電話機に呆れられてしまって教えてくれなくなったのかもしれない。
それは、その電話機しか知らないことである。
ということにしておく。
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