仲の良い2人

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仲の良い2人

 私の祖父母は生前とても仲が良かった。 祖母が脳梗塞で倒れた時。 リハビリに付き合うのはもちろんの事。 お風呂から身の回りの世話、食事の介助に至るまで、 自然に、当たり前のことのように世話をしていた。  その後、祖父も病に倒れるまでそれは続いた。 叔母が2人の面倒をみるようになってから何年か経った頃。 先に祖母にお迎えが来た。 葬式の後の祖父は 「内緒でビールを注いでくれ」 というほど元気だった。 しかし、それから季節が2つ変わった頃、 祖父にもお迎えが来てしまった。 仲の良い夫婦は片方が居なくなると、 後を追うように逝ってしまうというのは本当なのだと、 その時初めて目にした。  しかし、上には上がいるもので。 友人のご両親はお父様が婿入りするほどお母様のことが好きだった。 いつも仲良く支え合う2人。 大切なのは子供よりもお互いだというのが仄かに伝わる程仲が良かった。 しかし、元々体の弱いお母様より先にお父様の方が先にお迎えが来てしまった。 お母様はとても悲しんだ。 その後、心労からなのか軽度だった認知症が重度へと移行していった。 時々、大好きだったはずの孫の顔を見ても、 誰だか分からないこともあったという。 それでも、その頃一緒に住んでいた子供である友人のことは流石に忘れなかったという。  循環器系が弱かった友人のお母様。 病状が急変したのは友人のお父様の葬儀から4ヶ月後のことだった。 その後回復することなくあっという間にお迎えが来てしまった。  友人はたった4ヶ月の間に両親を2人とも亡くしてしまった。 かなり落ち込んでいたことを今でも覚えている。  仲の良い夫婦は後を追うように逝ってしまう。 それは本当のことなのだと思わされた、 そんな出来事だった。
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