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するとなんだか居心地の悪い視線を背中に感じた後すぐに知人にお声がかかった。
酔っ払いのふりをした女から。
「こんばんはー」
連れは後ろを向いて『こんばんはー』と言って頭を少し下げてすぐに前に向き直った。
その後声を掛けられることもなく、彼らは何曲か歌った後すぐにまた別の店へと言ってしまった。
彼が言うにはあの女は居酒屋に1人で飲みに行ってはそこで毎回違う男を引っ掛けては別の店を梯子するらしいのだった。
女はストレートロングでスラット背が高いのでパッと見綺麗なので男も引っ掛かるのだろうと言うのは連れの話。
以前声をかけた男が別の女を連れていたので気に入らなかったんだろうとも言っていた。
だからだろう。やたら後ろからイヤーな視線と空気を感じていたことに納得した。
もっと気持ち悪いのはその2人が帰ったらスッとその変な空気は無くなったことだった。
その後は何曲か歌ってスッキリしてから家路に着いた。
妙な話を聞いたのは暫くしてからその彼とあった時のことだった。
彼の話は少し気味の悪い物だった。
彼が通勤で線路の高架下を歩いて信号待ちをしている時。
そこには人ひとり以上離れた場所に自転車に乗った人が居ただけだったという。
それなのに後ろからポンポンと肩を叩かれたので『エッ?』と声をあげて後ろを見ても誰も居ない。
突然驚いた声を上げたので近くに居た自転車の人にもびっくりされてしまったと言うのだ。
彼は霊が見える人なのだがその時は叩かれただけで姿は見なかった。
その話を聞いた私は、先日の女を思い出した。チョットねっとりした感じのあの女を。
そしてそれは浮遊霊じゃなかったらこの前の女の生き霊なのではないか、と。
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