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強い想い 2
以前聞いた言葉の中でどうしても解せないものがある。
「娘はやらん!」
これは男性が女性の父親に言われた言葉。
最近ではこんな親はいないと思っていたのだが、
絶滅したわけではなかったようだ。
何が解せないのか。
それは、自分は娘を他人にやらない言った父親は
現在の奥さんである他人の娘を嫁に貰っておいて
自分の娘は人にやらないなどと言う傲慢さが嫌なのだ。
その後、渋々ながらも認めてやるのなら初めから認めてやればいいものを。
父の威厳やら、娘を大事にして欲しいとかいろんなことを宣うが
新しく家族になるかもしれない人間との繋がりは考えないのだろうか。
「娘さんをください」とわざわざ挨拶に来るのは
大抵は真面な人間なのに。
そんな父親の最たるものが生まれたばかりの娘に対するこの言葉。
「絶対に嫁には出さない」
知り合いの口からこの言葉を聞いた時には正直呆れた。
生まれた子供が可愛いから出た言葉なのだろうとその時は思っていた。
そんな言葉を聞いてから四半世紀が過ぎた頃。
実はその父親は霊感の強い人物だった。
本人は発した言葉を忘れていたらしいのだが現実はこうだった。
件の娘は結婚する気はないと言うのだ。
付き合っている人がいたこともある。
この御時世、結婚することが必ずしも幸せなのかどうなのかは分からない。
結婚しないのは件の娘の意思なのだろう。
しかし、霊感の強い父親は念も強い。
本人が昔発した言葉を忘れてしまっても、
その時の強い想いの乗った言葉はその強い念と共に
今もなお言葉の鎖のように残っている気がしてならない。
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