正夢

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正夢

 正夢。 夢が現実になる事は本当にある。 これは単なる同じ職場の同僚の話。    ある日私はあまりにもリアルな夢を見た。 その頃接客業の店で一緒に働いていた人が職場の制服姿で上司に話をしていた。 数ヶ月前に一緒に研修を受けたのでそれなりに交流があったが特に仲が良かったと言う訳ではない。 「申し訳ありません。◯月✖️日で退職させて下さい」 夢の中でまでその人は疲れた顔をしてその言葉を放っていた。 そして上司が『わかった』と頷いたところで目が覚めた。 夢に出てきたその人は現実世界でもその仕事に向いている感じではなく、いつも疲れた顔をしていた。 それに加えて◯月✖️日は、その夢を見た日から半月後。 しかしやけにリアルな夢だったので記憶から消えることは無かった。  夢を見た日から1週間ほど立った日のこと。 出社すると、隣のチームの責任者からこんな話をされた。 「そっちの〇〇さん。今月の✖️日で退職するんだって。そのうち本社から代わりの人が来るらしいよ」 その話を聞いて思い出したのは先日見た夢のことだった。 少し真面目すぎて疲れてしまったその人は本当に夢で見たその日に辞めてしまうのだった。 驚いたというより気味が悪かった。 一緒に働いているというだけで、特に仲が良かった訳でもない人の職場の進退を見てしまうとは。  人は深層世界で繋がっているというのはどうやら本当らしい。
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