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ヤモリ
それなりの時間人間をやっているがこれまでで2回ヤモリに遭遇した事がある。
それが結構可愛い。
別々の場所で時期も違うのだが遭遇した時のヤモリの立ち(?)姿や顔つきが、不思議なことに2匹ともほぼ同じだったのだ。
違ったのはヤモリの大きさくらいだったと思う。
決して爬虫類好きでも無類の動物好きでもないのだが、ヤモリと見つめ合った瞬間なぜだかやたらと愛らしく見えた。
それだけは今でも不思議でならない。
水族館に行ってシャコが水槽の底を歩いているのを見てから寿司屋で2度とシャコが食べられなくなった人間だというのに、なぜかそのヤモリは可愛く見えた。
私の周りには水族館でイワシの大群を見てこんなことを言う輩がいる。
「美味しそう!」
残念ながらそんな私はそんな感性を持ち合わせていない。
あの日、人間を見ても驚く事なくお見合いをするようにこちらを見ていたヤモリ。
初めの出会いは実家の増築された比較的新し方の階段の上だった。
2階にある自分の部屋に行くために階段を登りふと上を見るとヤモリが尻尾をこちらに向けて顔だけ振り返ってこちらを見ていた。
視力の弱い私は何か落ちているのかと思い、目を細めてよく見てみればそれはヤモリだった。
10秒程1人と1匹は見つめ合っていた。
先に動いたのは1匹の方だった。
ふいっと顔を進行方向である階段の上に向けてそのままどこかへ歩いて行ってしまった。
すぐに追いかけてみたのに洗面台の後ろにでも隠れたのか見当たらない。
虫も動物もあまり得意で無い私はそのまま追跡するのをやめた。
間違って違うものと遭遇したら違った意味で大騒ぎする自信があったから。
それにヤモリは家を守ってくれるくらいだから、きっと屋根裏にでもいたのだろう。
そう無理やり思うことにしたからだった。
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