夢のつづき

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夢のつづき

 あなたは夢のつづきを見たことはあるだろうか。 私は続きを見たと言う人に何人か会った事がある。 斯くいう私もその続きを見た事がある一人である。  あれは15歳の頃、他の家族が留守にしていたので実家の居間で昼寝をしていた時だった。 夢の中の私はアラビアンナイトのような世界の中で活躍を認められ、これから褒美をもらえるというとてもイイところで家族が帰って来て起こされてしまった。 気持ちよく昼寝をしているのだから放っておいてくれればいいのに、大きな音を立てて家に入ったかと思うとご丁寧に大声で 「今帰ったー」 などと報告しやがった。  昼寝をしていて無理やり起こされて半分寝惚けていたのだが、トドメに出された大きな声で覚醒してしまい、その時の私はとてもがっかりしたのだった。 「なんだ、寝てたんだ」 とまたも大きな声をかけられた私は、少し体を起こして 「おかえりー」 と一本調子で答えるとまたすぐに横になった。 騒がしい奴らはそれぞれ自分の部屋に戻って行き、また私は一居間で人になった。  覚醒はしたものの、さっきまで見ていた夢のつづきがどうしても見たかった私は、もう一度寝ることにした。 そして寝る前に『必ず夢のつづきを見てやる』と深く心に誓い昼寝へと再度突入したのだ。 すると、本当にさっきの夢のつづきからまた夢が再開した。 どうやら城が一つ貰えるらしいことと、これから祝いの宴を行い祝いの品も貰えるとのこと。 残念なことに夢の中で他に何をもらったのかはもう覚えていないのだが、城をもらい美味しい食事をし、現実世界では未成年だが夢の中ではお酒も飲んでいた。 夢の中はご都合主義なのでその国では15歳でもOKのようだった。 さすが夢の中、規則も何もあったもんではない。 そしてその後、私は夢から覚めたのだが、 『見たいと思えば夢のつづきは見られるじゃん!』という達成感でしばらくの間満たされていたのだった。 まあ、夢なので現実にお城をもらえたり、美味しい食事をしたりしたわけではないのだが。
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