ある少年の災難

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ある少年の災難

 これはある中学生の話。 その日はサッカー部の試合でレギュラーメンバーは自転車で遠征に行っていた。 試合も終わり疲れた体でダラダラ片付けをしていると日も暮れてしまった。 初めは全員で遠征場所から帰っていたのだがポツポツと自分の家の方向へと枝分かれしていった。  それはメンバーが6人位になった時のこと。 近道なこともあり用水路のような川の脇を走っている時だった。 その中の1人が何故か急に用水路の反対側の道に行ってしまった。 バシャッ。 バケツの水が打ち付けられたような音がした。 するとその直後向こう側に行ったその1人の少年が慌てたようにみんなの方に戻って来た。 その様子を見ていた集団の中の1人が、不思議に思って声をかけた。 「どうした? そんなに急いで」 するとみんなの方に寄ってきて戻ってきた少年はこんな事を言い出した。 「……水かけられちゃったよ、川の方から」 「「「「「エッ」」」」」 「……ほら、濡れてるだろ……」 そう言われて声をかけた少年がシャツの袖口を触ると本当に濡れていた。 それどころかよく見ると全身びしょ濡れだったのだ。
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