49人が本棚に入れています
本棚に追加
続 親切な固定電話_明け方のダイヤル音
我が家の固定電話は少し変わった反応?行動?いや、動作をする。私限定で。
それはいつも起こるのではなく、突然前触れもなく起きるのだ。
FAXを送りディスプレイに登録もしていないのに勝手に名前が表示されたあの電話機は実は他にも私に気を使ってくれていた。
寒さも厳しい冬のある夜。
私は仕事で疲れていたせいか夕食後、眠気に負けてリビングのホットカーペットの上で寝てしまった。夕食の時間も22時からと遅かったのと、次の日が休みだったので気が緩んでいたのだ。
我が家のホットカーペットはふんわりとした毛足なるものではなく、フローリング調の水をこぼしてもOKの直接寝るにはちょっと硬いタイプだった。
ちょっとした床暖気分で掃除もしやすく夏も出しっ放しにできるのでお気に入りのホットカーペットである。
そのカーペットの上でご丁寧にミニ毛布をかけて私は寝入ってしまったようだった。
ふと何かの音がした気がして目を覚まして辺りを見回した。
すると例の電話機から何か音が聞こえていた。
近くに行って聞いてみると電話が勝手に自動発信をするように
「ジー、ジー、ジー、…………」
ダイヤルするような音が鳴っているではないか。
なぜジー、ジー、なのかというと電話機はプッシュボタン式なのだが、○TTのダイヤル回線で契約していたので発信音はレトロ感漂う感じになるのだ。
今ほど光電話が普及していなかった頃で少しでも電話代を浮かせるためにダイヤル回線にしていたのだと思う。
そのジー、ジー、と音に驚いて電話機のディスプレイを見ても何も表示されていなくてどこかに発信されることはなかった。
部屋の時計を見ると午前4時になるところだった。
少し薄気味悪くなって電話機を見ていると音もしなくなり、ディスプレイの光も消えた。
その後はとにかく早く布団に入りたくて食事の後片付けもそこそこにリビングの電気を消して寝室へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!