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「この学校卒業して大学医学部とか法学部に進学する人はいるのでしょうか?」一年生の女子の名前を彼は思い出せなかった。
「君なんて名前だったかな?」
「忘れましたか」
「ど忘れ」
「小林です」
「そうだった」
「私医学部受験しようかな?」
「無理だよ」小林の同級生の北河は言った。
「それもそうだね」
「僕は医学部受験するかもしれないよ」彼は言ったがこれも真っ赤なウソであった。
「理数系ですか?」北河に尋ねられた彼は返事できなくなった。医学部受験は嘘だという自覚はあるからだった。
「まだ決めていないよ」
彼は絵画を描くことにしたが、彼は自称画家なのであった。高校一年生の三学期に進路を決めていないのも考えものだが、そういう高校生は多くもなかったが少なくもなかったのであった。
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