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「あぁ、美しい。楽しそうで何よりです」
男は恍惚とした熱い吐息を吐きながら、そう睨みつける修に言ったのである。
こんな落ちぶれた姿が楽しそうに見えるのか?何をどうやって見たら、これが楽しそうに見えるのかと、修は心の中で毒吐いた。
「何も悲嘆することは無いです。そうでしょう。この世の中は、所詮ゲームなのですから」
毒吐いた修の心の声が聞こえたのか、男は修にそう答えた。
はっとして修がまた見上げると、もうそこに男はいなかった。
修はやっと立ち上がる気になって、ふらふらと夜道を咥えタバコを吸いながら歩いて、何とか自分の部屋にたどり着いた。
自分の部屋と言っても、それは本当は、民子の部屋である。
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