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春風 吹き抜ける 森の朝
赤ずきんを被った女の子は
憂鬱だった
なぜなら
お気に入りの赤ずきんを
着ていられるのは
15歳の誕生日までだから
女の子は明日
15歳の誕生日を迎える
女の子は今朝
森の奥にある
おばあちゃんの家まで
焼きたてのパイを届けるよう
ママからお使いを頼まれた
だけど女の子は
おばあちゃんが苦手だった
おばあちゃんは多分
魔女だ
もう2,000年以上も生きて
この森を支配している
おばあちゃんは
女の子をとても可愛がってくれる
それは
女の子を魔女の後継ぎにしたい
と考えているからだ
女の子は普通の人間として
平凡に街で暮らしたい
普通の人間として
大好きな幼馴染のレオンと結婚して
平凡な人生を送りたい
だけど 先月
おばあちゃんの家までお使いに行った時
おばあちゃんにこう言われた
「おまえは
きっと素晴らしい魔女になる
15歳の誕生日までには
その心が芽生えるだろう
おまえが魔性に目覚めたら
私は安心して死ねる
間もなく
おまえの赤ずきんは
色が変わるはずだ
魔性に目覚めたら
少しずつ色が変わるんだよ
ふふふふふっ・・・
楽しみだねえ」
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