夢の国

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「ちょっと、ベッド広いんだからもう少し離れてよ」  何故かくっついてくる彼女に困惑する。 「いいじゃん、友達でしょ、こっち向いてよ」 「ちょ、近いって」 「よく見ると睫毛長いよね、羨ましい」  こっちの気も知らないで、そんなことを言う。 「自分の睫毛なんて知らないし」 「ねぇ……キスしていい?」  フリーズした。なんて答えるのが正解なのだろう。  ダメと言えば、何もなくそれで済むだろう。だけどこんなチャンス二度とないかもしれないよ。私からじゃなく彼女から言ってきたんだし、ただのおふざけだとしても、したい。 「……いいよ」  どうせ、冗談だよぉって、アハハって笑って終わるんだろうなと思ってたのに。  目を閉じた彼女の顔が近づいてきて、唇が触れた。一度離れたと思ったら角度を変えてもう一度。  柔らかかった、温かかった、気持ち良かった。  何も考えず、私からもキスをする。  もう止められなくなることはわかっていたが、彼女に触れることの喜びに抗うことは出来なかった。  これは現実? まだ夢の中なのだろうか、それとも夜も恋人の代わりとして振る舞えとでもいうのか。  そんな考えも、私の微かな理性も、彼女の小さな吐息で吹き飛んだ。  私は彼女のパジャマのボタンに手をかけた。
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