夢の国

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 一線を越えたというのに、翌朝の彼女は何もなかったかのように「おはよう」と言い、私も「おはよう」と言う。  これで良い。これが良い。  二日目のパークも存分に楽しむ。今日はショー目当てだ。時間を考慮し合間にアトラクションを楽しむ。お化け屋敷では暗くなった瞬間にキスをされた。周りを見ればカップルばかりだった。  やっぱり、別れた彼氏の代わりという位置付けなのだろうか。  少し暗くなった空を眺め切なさが込み上げてきた。夢の時間がもうすぐ終わってしまう。 「楽しかったね」  お土産を抱えた彼女は笑顔だ。 「終わっちゃったね」  私は笑えず、振り返った。 「何言ってるの、家へ帰るまでがデートだからね、送ってくれるよね」 「もちろん」  無事に送り届けるつもりだ。 「話があるから、入って」  送り届けるだけで帰ろうと思ったら、そう言われた。話というのは昨夜の事だろう。時間ももう遅いし、入ってしまったら今夜帰るのは難しくなりそうだなと逡巡する。 「明日は3限からだよね?」  私の考えはお見通しだったらしい。 「うん、そうだね」  覚悟を決めるしかなさそうだ。
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