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 雲の上は晴れてるってほんとだったんだな。  ごくごく当たり前で知ってたことだけど、実際に目で見るとちょっと感動する。綺麗な快晴が広がってて、下に広がってる雲。雲が下にあるなんて日常にはない風景だ。初めて飛行機に乗った俺は、その光景をずっと見つめてる。 「いい加減にして頂けませんか。もうありません」  頭の後ろから聞こえる、めちゃくちゃ抑えてるけど激怒してるのがモロにわかるスチュワーデスさんの声。 「いやいやいやー、もうちょい、ね? もう一杯だけ」  そして俺の隣から聞こえるパーフェクトな酔っ払いがゴネる声。  俺は何とか他人のフリをしたい。 「本当にありません」 「そんなそんな」 「お静かにお願いします。他のお客様のご迷惑です」  ああ……他人のフリをしていたいけど、そうもいかないか。  大きくため息をついて、隣の正人さんの肩を叩く。 「マジでいい加減にしてください」 「お前も呑め呑め」  居酒屋じゃねぇんですよ。俺がいくら酒呑みだからって、その辺は弁えてる。それなのにこの人と来たら、搭乗前から延々と呑み続けてて、ただいま見事な大トラとなっており、とりあえず俺は恥ずかしすぎて別れたい。
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