39人が本棚に入れています
本棚に追加
「のん、昨日はどうしたの?」
次の日、登校してすぐに茜が席の隣やってきた。
「あ、ちょっと生理痛ひどくって」
「マジか。ツラいねー」
「うん」
「そう言えば、晃と連絡取ってる? 最近あたしに頻繁にのんの様子を探るメッセージ来るんだけど。どういうこと?」
深刻な顔をして茜に詰め寄られるから、あたしは晃との近況を話すしかない。
「は!? メッセージも着信も無視してんの!?」
「無視っていうか……気がついた時には時間たっちゃってるし、あえて返さなくても良いかって、思っちゃって」
ものすごい剣幕で聞いてくる茜に、あたしはたじろぎながら笑った。
「まぁ、のんは帰宅部のあたしと違って部活も頑張ってるし、彼氏と会える時間も明らか少ないよね。でもさ、だからこそメッセージとか電話って重要じゃない?」
最もだ。
正論を言われて、あたしは返す言葉がない。
「今日なんか送ってあげなよ。きっと喜ぶよ」
先生が教室に入ってくると、茜は慌てて自分の席へと戻って行った。
外は今日も眩しい太陽が順調に空高く昇っている。
今朝はいつもより一本遅い電車で来た。さすがに昨日のように遅刻ギリギリでは気持ちに余裕もないし。そう思いながらもドアが閉まる直前まで、昨日のあの人の姿を探した。だけど、見つからなかった。
手に持っていた昨日借りたタオルの入っている紙袋を抱えて、ため息をついて学校まで来た。今は机の横にかけてある紙袋に視線を落として、あたしはまたため息をついた。
あの人の笑顔が、頭から離れない。
最初のコメントを投稿しよう!