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中学から続けているソフトテニス。それなりに大会にも出させてもらえて、高校から仲良くなったペアとも順調。部活を終えると、部室で着替えるあたしに、麻由理が話しかけてくる。
「希未、今日はパフェ食べ行こーっ。ちーと美優も行くって」
いつも通りに部活終わりの女子の集いに誘われる。いつもなら張り切って行くんだけど、今日は晃との約束があるから。
「ごめん、今日は無理なんだ、また明日誘って」
「そっかぁ、残念。じゃあ明日にするー?」
近くにいた、ちーこと、千尋と美優にそう言って、麻由理は帰る準備万端の格好をしつつ椅子に座り込んだ。
「だねー、希未居ないとつまんないしー」
賛同するように美優が言う。千尋も頷いているし。
「え! あたしってそんなに重要?! 良いよー、三人で行っておいでよ」
あたしが制服のボタンを留めながら三人を見ると、雰囲気がもうパフェの気分じゃなくなっているっぽい。
「今日はここで喋ってあと帰ろっかー」
「「賛成」」
ガタガタと二人も椅子に座り始めると、すぐに恋バナが始まる。
麻由理には先輩の彼氏が居て、千尋は万年片想いなんじゃないかと思うくらいにずっと想いを寄せている人がいるらしい。一方、美優はアイドルグループliarのメンバー、ユウキにどっぷり惚れ込んで推し活が次元を超えている。
それぞれに好きがある。
それには、きっと愛がある。
でも、あたしは果たして晃のことを恋とか愛とかの部類に入れることが出来るのかと考えた時に、疑問を持ってしまう。
「希未、彼氏と会うの?」
「え?! あー、うん」
みんなには去年仲良くなった時点で、晃という彼氏がいる事は伝えていた。だから、あたしが誘いを断る理由は彼氏しかいないんだ。
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