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「そっかぁ、久々なんじゃない? 学校終わりに会うの。いつもあたしらに付き合ってくれるから、休みの日くらいしか会えてないでしょ?」
千尋が眉を下げて悲しそうに言う。
「だよね! 好きな人とは会えるなら毎日会いたいよね!」
美優が推しのアクスタを抱きしめつつ言っているのを聞いて、その他は失笑するしかない。
好きな人とは毎日会いたい……かぁ。
「そう言うもんなのかなー」
あたしが悩ましげにつぶやくと、麻由理は頬杖ついて頷く。
「毎日って言っても限度があるよねー、あたしなんて隣の家だし昔からの付き合いだし、学校いる間は離れてられるから、この時間がだいぶ息抜きだよ」
「は?! 何その余裕な熟年感! あたし達はどうせ息抜き程度の存在ですよー」
「あーぁ、ごめーん、もちろん、たいっせつな存在よ。ちーも美優も希未もっ」
二つ年上の幼なじみと付き合っている麻由理は、もはや夫婦なんじゃないかと思うくらいに落ち着いた恋人同士だ。
そんな事を言っているけど、彼の話をする麻由理はいつも幸せそうに笑う。
やっぱりそこにはもちろん愛があると思う。
「あ、じゃああたしそろそろ行くね」
さっき晃にメッセージを送ってからすでに十分以上経っている。待たせるのは悪いし、あたしはカバンを持つと部室を後にした。
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