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プロローグ 思い出
フェンス越しに、小学生達が走っている。
聞き覚えのあるあの音楽に、わたしの懐かしい記憶が蘇る。
「シャトルラン」
ふと、口に出してみた。
と同時に、沙奈のあの恥ずかしそうな顔を思い出して、ぷぷっと笑ってしまった。
通行人のおじいさんが、そんなわたしを変な目で見ている。
真っさらなスーツ姿に身を包んだ大人になったわたしは、もうシャトルランをすることは多分一生ないだろう。
情けなくて、かっこ悪くて、それでもちょっとでもかっこつけたかった、そんな不器用なわたし達の、小さな思い出。
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