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「ここで、結衣に告白したんだよな」
もう二年も前の話だ、
高校一年生の時、クラスの人気者の翔琉が、地味でまったく存在感もない私に照れながら「好きだ」って言ってくれた、
「……そんなこともあったね」
遠い昔のような気がする、
「ここで、はじめてのキスもした」
「うん」 やだ思い出すじゃない……、
逢魔時って言ってただろうか、
翔琉が教えてくれたけど、私の耳は右から左にそのまま何の痕跡も残さずに通り抜ける特技を持っている、
夕暮れ時、陽が落ちてから真っ黒な闇が包み込むまでの僅かな時間のことだ、
堤防の上を二人並んで帰る途中だった、
会話が途切れ、気まずさに襲われかけた次の瞬間、
『結衣こっち‼︎』って、急に私の手を掴んで土手を滑り降りたかと思うと、
突然のことに芝生の上で呆気に取られて動かない私に、翔琉は不器用に唇を重ねた。
それは、つい昨日のことのように甦る、
忘れるわけがない、私のファーストキスだったんだから、胸のドキドキが止まらなかった。
翔琉も初めてだったのか、ぎこちなさが伝わるぐらい緊張していた。
「ねぇ、どうして私だったの?」
「一目惚れに理由なんかないし」
「嘘ばっか、私に惚れる男の子なんているわけないじゃない!」
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